福島県の地方都市会津若松でも継続的な勉強がしたいと願う若手(?)薬剤師数名で行う自主的な勉強会の連絡や行った内容をお伝えします。

当面は月に1度のEBM形式の抄読会(ジャーナルクラブ)の開催を目指します。

当人達も手探りですので、興味ある方は一緒に勉強しませんか?
こうした方がよい等のご意見も頂ければ幸いです。

2014年12月5日金曜日

第8回抄読会予定


【日時】
2015/1/7(水) 19:00~


【場所】
コロニーハウス
https://goo.gl/maps/SjJ9c

【担当】
いぶき薬局 中島
http://www.aiki-ph.co.jp/shop/ibuki/

【お題】
デスモプレシンの錠剤のミニリンメルトが2012年に発売されている。警告として「水中毒」があるが、子供の夜尿症へ使用した場合、どれくらいの頻度で起こるものなのか?また、同成分の点鼻薬と比較してどうなのか?

【読む論文】
J Urol. 2007 Jul;178(1):24-30.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17574054
 
【勉強しておいたほうが良いこと】
夜尿症、デスモプレシンの作用機所
日本夜尿症学会ガイドライン:http://www.jsen.jp/guideline/index.htm

2014年11月18日火曜日

第7回抄読会まとめ(糖尿病患者に対する高血圧治療薬)


【日時】
2014/11/14(金) 19:00~

【場所】
コロニーハウス

https://goo.gl/maps/SjJ9c

【担当】
けやき薬局 岡本
http://www.aiki-ph.co.jp/shop/keyaki/

【お題】
糖尿病で腎機能が落ちている患者にとって、ACE阻害薬は他の降圧剤と比較して腎機能を保護効果はどの程度か?  RAS系阻害の薬は腎機能保護があると言われているけれど、ARBの臨床試験データの不正などがあったので、改めてその効果を再度確認したい。 

【読んだ論文】
BMJ. 2013 Oct 24;347:f6008.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24157497

P 18歳以上の糖尿病の人
I  ACE阻害薬を服用
C プラセボ、もしくは他の降圧薬を服用
O 死亡率、透析導入、血清クレアチニンが倍になった人数

RCTのネットワークメタアナリシス

<検索>
Medline, Embase, Scopus, Cochrane Library
参考文献まで調べた。言語はなし

<対象>
18歳以上の糖尿病患者(1型2型問わず)を対象として12ヶ月以上追跡している
パラレルのRCTでoutcomeが対象となるもの

 <Study selection>
詳細不明。
<Data extraction>
2名が独立して行った。不明点、矛盾があれば著者に連絡を取った。
<Risk of bias>
コクランのrisk of bias ツールを使用
2名が独立して評価し、不一致は別の2名を交えて合意を形成した。
<出版バイアス>
ファンネルプロットとBeggの補正順位相関検定、エッガーの回帰非対称検定
 
<outcome>
・死亡率(項目 プラセボ対照のオッズ比)
ACE-I+CCB 0.51(0.15 to 1.35)
ACE-I+利尿薬 0.86(0.59 to 1.26)
ACE-I 0.99(0.73 to 1.26)
CCB 1.02(0.74 to 1.46)
ARB 1.08(0.87 to 1.39)
 
【読んだ後のディスカッション】
・ネットワークメタアナリシスの理解が不十分なため、批判的吟味ができなかった
・直接比較がされていない関係について推定できるのは便利?
・ACEIはなんとなく古い薬のようなイメージがあったが、解析結果を見ると
 腎保護に関してはよく処方の出ているARBと比べて遜色ないみたい
・ACE-Iで単独よりCCB併用で死亡率が何でそんなに下がるのかがよく分からない。
・文中にも書いてあったがACE-Iは安いので良いかもしれない。
・ARB+αは、データが不足しているようで推定範囲が広すぎてよく分からない。
・ARBやACE-I+CCBは腎臓内科のDrがよく処方しているのは見かける気がする。
・β阻害薬はあまり腎機能によくないらしい
・ACE-Iは目に見える副作用(空咳等)が多かったり、MRさんが熱心に売込に来ないから
 処方量が減っている面もあるか?
 
【薬局でできそうなこと】
・ACE-Iの方が安いので、ARBで薬代が高いという人にDrとの相談をおすすめ?
・ARBが使えないという人にはACE-Iを提案?
・あまり薬局でできることはないかも?

2014年11月10日月曜日

第7回抄読会予定


【日時】
2014/11/14(金) 19:00~

【場所】
コロニーハウス

https://goo.gl/maps/SjJ9c

【担当】
けやき薬局 岡本
http://www.aiki-ph.co.jp/shop/keyaki/

【お題】
糖尿病で腎機能が落ちている患者にとって、ACE阻害薬は他の降圧剤と比較して腎機能を保護効果はどの程度か?  RAS系阻害の薬は腎機能保護があると言われているけれど、ARBの臨床試験データの不正などがあったので、改めてその効果を再度確認したい。 

【読む論文】
BMJ. 2013 Oct 24;347:f6008.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24157497
 
【勉強しておいたほうが良いこと】
降圧治療につかう薬の概要
日本糖尿病学会 糖尿病診療ガイドライン2013
日本腎臓病学会 CKD診療ガイドライン2013

2014年10月3日金曜日

第6回抄読会予定


【日時】
2014/10/9(木) 19:00~

【場所】
コロニーハウス

https://goo.gl/maps/SjJ9c

【担当】
みずき薬局 馬場

http://www.aiki-ph.co.jp/shop/mizuki/

【お題】
ビタミンKは腸内細菌によって供給されることが知られているが、ワーファリンを服用している患者さんが抗菌薬を服用する場合は出血リスクについて注意が必要なのか?
 
【読む論文】
Am J Med. 2014 Jul;127(7):657-663.e2.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24657899
 
【勉強しておいたほうが良いこと】
ワーファリンの薬効、薬理、作用機序。日常でビタミンKはどのように摂取されているのか

2014年9月12日金曜日

第5回抄読会まとめ(アトピーに対するステロイド:ストロング短期 vs ウィーク連日)


【日時】
2014/9/11(木) 19:00~

【場所】
コロニーハウス

https://goo.gl/maps/SjJ9c

【担当】
いぶき薬局 中島

http://www.aiki-ph.co.jp/shop/ibuki/

【お題】
アトピー性皮膚炎の患者さんに対して、ステロイドを用いる場合、弱いものを長期に使用するのと強めのものを短期的に使用するのは、どちらが有効か?それに伴う副作用はどうなのか?
 
【読んだ論文】
BMJ. 2002 Mar 30;324(7340):768.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11923161
 
P 1~15歳の軽度~中等度のアトピー性皮膚炎の患者
I  0.1%吉草酸ベタメタゾン軟膏(リンデロンV or ベトネベート)を週に連続3日→保湿基剤4日
C 1%ヒドロコルチゾン軟膏を連日
O number of scratch-free days (スクラッチスコア(1~5の5段階)が2以下の日数)
  number of relapses(スクラッチスコアの3以上が3日以上続いた回数)
※軟膏は1日2回塗布

<割付>
コンピュータで表を生成。4つごとのブロック割付
層別化は行われていない
<baseline>
だいたい同じ?

<隠蔽化>
患  者:〇
医療者:〇?
評価者:〇
解析者:〇

<解析>
ITTで解析?
脱落率・・・ベクロメタゾン群:12.6%(13/103)、ヒドロコルチゾン群:21.2%(22/104)
サンプルサイズ・・・α=0.05、power=90%、15%の差を検出するのに89例、脱落10%予測

<outcome>
患者さんの日誌から判定
・掻かなかった日数(スクラッチスコアが2以下。母数は18週×7日で126日?)
 ベタメタゾン群:117.5日 (99.3-125.0)  (スコアが1の日数は73)
 ヒドロコルチゾン群:118.0日(99.8-124.0)  (スコアが1の日数は85)
 P=0.53 (スコアが1の日数のP=0.70)
・悪化の回数(スクラッチスコアの3以上が3日以上続いた回数)
 
 ベタメタゾン群:1.0 (0.0-3.0)
 ヒドロコルチゾン群:1.0 (0.0-3.0)
 
 P=0.32
 ※44%(73名)から報告がなかったが、感度分析でもP=0.52

【読んだ後のディスカッション】
・保湿が前提だが、短期強いのを使うのも、弱いのを継続するのも効果に差があるとは言えない
・アトピー性皮膚炎のガイドラインは読んでも薬局でどうしたらよいのかがいまいち分からない
・ブラインドしても、ステロイド使えば状態が改善するので分かるのではないか?
・ステロイドは皮膚を薄くする作用があるらしい
・18週(約4ヶ月)で副作用は著明に出るものなのか?もう少し長いと変わるのか?
・Drによって軟膏を使う量の指示が異なるのが疑問。最近は多めにと指示するDrが多いような
・アトピーは難しい。子どもの場合は親の意向もあり、ステロイドを拒否するような家庭もある
・保湿剤+たまに強いのだと、ついついステロイドの軟膏を使いすぎてしまうのではないか?
・毎日同じ物を続けて使うほうが簡便のような気もする。

2014年9月9日火曜日

第5回抄読会予定


【日時】
2014/9/11(木) 19:00~

【場所】
コロニーハウス

https://goo.gl/maps/SjJ9c

【担当】
いぶき薬局 中島

http://www.aiki-ph.co.jp/shop/ibuki/

【お題】
アトピー性皮膚炎の患者さんに対して、ステロイドを用いる場合、弱いものを長期に使用するのと強めのものを短期的に使用するのは、どちらが有効か?それに伴う副作用はどうなのか?
 
【読む論文】
BMJ. 2002 Mar 30;324(7340):768.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11923161
 
【勉強しておいたほうが良いこと】
アトピー性皮膚炎ってどんな病気か?ステロイド外用剤の働き方、強さのクラスの違い

2014年8月22日金曜日

第4回抄読会まとめ(シロスタゾール vs アスピリン)

【日時】
2014/8/21(木) 19:00~

【場所】
コロニーハウス

https://goo.gl/maps/SjJ9c

【担当】
けやき薬局 岡本

http://www.aiki-ph.co.jp/shop/keyaki/

【お題】
脳梗塞後の2次予防にシロスタゾールが処方されることがあるが、よく見かけるアスピリン製剤(バイアスピリン等)と比べて、どのようなメリット・デメリットがあり、服薬指導ではどのような点に注意すべきかを考える。
 
【読んだ論文】
Lancet Neurol. 2010 Oct;9(10):959-68.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20833591
 
P 20歳~79歳で非心原性脳梗塞発症後26週以内で病態の落ち着いている人
I  シロスタゾール100mgを1日2回服用
C アスピリン81mgを1日1回服用
O 脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)

<割付>
ランダム割付
<割付の隠蔽化>
コンピューター作成のランダムシーケンスをしようし、動的平衡法で割付
<Baseline>
だいたい同じ、他の薬剤の併用率は異なる
 
<隠蔽化>
患者:〇
医療者:〇
判定者:?
解析者:?
 
<解析>
FAS
<追跡>
シロスタゾール 1356例中457例中止  脱落率33.7%
アスピリン 1360例中336例中止 脱落率24.7%
 <サンプルサイズ>
 
<Outcome>
脳卒中
シロスタゾール 82件 2.76%/年
アスピリン    119件 3.71%/年
HR 0.743 (0.564 - 0.981)
 
【読んだ後のディスカッション】
・シロスタゾールの方が脳卒中等のendpointで結果が良いのは意外
・すこし結果が良いが、脳卒中でNNT=105(人/年)なので、どう理解すればよいかが不明
・シロスタゾールの方が脱落率が高い、副作用も多そう。出血イベントは低い
・脳卒中が減って、出血イベントも低かったのは、抗血小板作用以外の影響もあるか?
・スポンサーが発売元の大塚製薬なのですこし割り引いて考えたほうが良いのかも?
・併用薬の差がどの程度影響を与えているのかが不明
 
【シロスタゾールのメリット】
・2次性脳卒中の予防効果は、アスピリンと同程度、またはすこし良いくらいはあるかも知れない
・アスピリンに比べ出血イベントが少ない。
・消化管出血も少なく、潰瘍等の発生も低そう
・抗血小板作用以外の作用による効果も期待できる?
・適応外で認知症、眼科等でつかわれたりもする?
 
【シロスタゾールのデメリット】
・薬価が高い。
 バイアスピリン100mg、バファリン81mgともに5.6円
 プレタール100mgは161.9円/錠、後発品だと39.5円~102.7円/錠
・動悸、頻脈、頭痛、めまいなどの副作用が多い。続けにくい?
・心疾患がある人には使いづらい(添付文書にも警告、禁忌の症例あり)
・1日2回服用が面倒
・CYP3A4、CYP2D6、CYP2C19で代謝されるため薬物相互作用で影響を受ける
 
【ロールプレイング】
シロスタゾールが始めて処方された人に対する服薬指導

2014年8月18日月曜日

第4回抄読会予定

【日時】
2014/8/21(木) 19:00~

【場所】
コロニーハウス

https://goo.gl/maps/SjJ9c

【担当】
けやき薬局 岡本

http://www.aiki-ph.co.jp/shop/keyaki/

【お題】
脳梗塞後の2次予防にシロスタゾールが処方されることがあるが、よく見かけるアスピリン製剤(バイアスピリン等)と比べて、どのようなメリット・デメリットがあり、服薬指導ではどのような点に注意すべきかを考える。
 
【読む論文】
Lancet Neurol. 2010 Oct;9(10):959-68.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20833591
 
【勉強しておいたほうが良いこと】
低用量アスピリンとシロスタゾールの薬効・薬理
 

2014年7月18日金曜日

第3回抄読会まとめ

有志で抄読会を行いました。
次回は、8/7(木)を予定しています。


【日時】
2014/7/17(木) 20:00~

【場所】
モスバーガー 会津店


【担当】
みずき薬局 馬場


【お題】
糖尿病の薬物治療の第一選択薬は、ビグアナイド系のメトホルミンとされている場合が多いが、最近実際に良く目にする処方はDPP-4阻害薬。なんでそういう場合が多いのか?を考えてみる。
 
【読んだ論文】
BMJ. 2012 Mar 12;344:e1369.

P:18歳以上の2型糖尿病患者に対して
I:DPP-4阻害薬を使用することは
C:他の治療薬と比べて、
O:HbA1cは下がるのか?

<検索>
Medline, Embase, Cochrane Library
他、アメリカ糖尿病学会、欧州糖尿病学会、アメリカ臨床内分泌学会議の年次総会誌を手検索
臨床試験も検索した。
<対象>
DPP-4阻害薬(もしくはメトホルミン+DPP-4阻害薬)と他の薬を比較したRCT
他の薬:メトホルミン、メトホルミン+(SU剤、ピオグリタゾン、インスリン、GLP-1作動薬の内どれか)

<Study selection>
2名が独立して行い、不一致は第三者を交えて合意を形成した
<Data extraction>
2名が独立して行い、不一致は合意を形成した
<Risk of bias>
コクランのrisk of bias ツールを使用
2名が独立して評価し、その後第三者と合意を形成した。
<出版バイアス>
ファンネルプロットとEgger検定(p=0.363)

【読んでからのディスカッション】
・DPP-4阻害薬はメトホルミンに比べて血糖効果作用は弱い傾向にある
・DPP-4阻害薬は全般的に副作用は控えめで、体重にも影響はすくなさそう
・メトホルミンに追加する場合は、SU剤と比較しても遜色なさそう
・意外とピオグリタゾンがHbA1c≦7.0の達成率がよい
・異質性が中程度以上のものをどう評価するのかが不明

【DPP-4阻害薬の特徴】
・血糖効果作用は強くない(HbA1cを下げても1%弱?)が、副作用も弱め?
・ちょっと血糖が高い人に、と使いやすい?指導が楽?
・単独で低血糖起こすことはあまり見かけない
・腎機能や肝機能でも調節すれば使える。高齢者でもあまり考えなくてもよい
・半減期が長く1日に飲む回数が少ない。基本的に1日1回でよく、エクアのみ1日2回
・死亡率には影響を与えないらしい?
・薬価が高い(1日薬価で100円~200円)

【メトホルミンがあまり処方されない理由?】
・乳酸アシドーシスに対する恐怖感、忌避感
 →フェンホルミンの20-60件/10万人のイメージが強い?(メトホルミンは1-7件/10万人位らしい)
  https://ds-pharma.jp/product/research/metglco/guide/q1.html
・1日3回または2回飲むのが面倒?
・腎障害、肝障害、高齢者、過度の飲酒等の禁忌が多い
・下痢、吐気等の患者さんが自覚し易い副作用が気になる?
・総死亡率を下げる等有益なエビデンスの認知があまりされていない?
・安い(1錠10.2円)からあまりMRが宣伝していない?

【まとめ】
ガイドライン等にもあるようにもっとメトホルミンが処方されてきても良いように感じるが、
効果(副作用も含む)の軽さからDPP-4阻害薬が使いやすく頻用されているのではないか?
メトホルミンが合わない人や腎・肝障害のある人、高齢者には、
他の薬と比較しても悪くなさそうなので、DPP-4阻害薬が1stチョイスでよい気もする。
DPP-4阻害薬は、他の糖尿病薬を使っていて2剤目の追加としても悪くないかも知れない。

【ロールプレイング】
健康診断で血糖値高めで引っかかって、
DPP-4阻害薬が単剤で処方されてきた人への服薬指導。
 
【参考】
日本糖尿病学会 糖尿病診療ガイドライン2013
国立国際医療センター 糖尿病標準診療マニュアル

2014年6月16日月曜日

第3回抄読会予定

【日時】
2014/7/3(木) 19:00~

【場所】
コロニーハウス

https://goo.gl/maps/SjJ9c

【担当】
みずき薬局 馬場

http://www.aiki-ph.co.jp/shop/mizuki/

【お題】
糖尿病の薬物治療の第一選択薬は、ビグアナイド系のメトホルミンとされている場合が多いが、最近実際に良く目にする処方はDPP-4阻害薬。なんでそういう場合が多いのか?を考えてみる。
 
【読む論文】
BMJ. 2012 Mar 12;344:e1369.
 
【勉強しておいたほうが良いこと】
糖尿病って?
SU剤、BG系、チアゾリジン系、GLP-1作動薬、DPP4阻害薬などの特徴と副作用を大まかに
 
【参考】
日本糖尿病学会 糖尿病診療ガイドライン2013
国立国際医療センター 糖尿病標準診療マニュアル

2014年5月30日金曜日

第2回抄読会まとめ

有志で抄読会を行いました。


【日時】
2014/5/29(木) 19:00~


【場所】
コロニーハウス
https://goo.gl/maps/SjJ9c


【担当】
けやき薬局 岡本
http://www.aiki-ph.co.jp/shop/keyaki/


【お題】
最近2剤目にアイファガン点眼液(Brimonidine)が良く処方されている。
良く処方されるチモプトール点眼液(Timolol)と比べて、効果はどうなのだろうか?


 【読んだ論文】
Am J Ophthalmol. 2011 Apr;151(4):671-81.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21257146
 
P:30歳以上の治療をしていない正常眼圧(<21mmHg)の開放隅角緑内障の人に
I:Brimonidine点眼液を使用することは
C:Timolol点眼液と比べて
O:視野障害の進行を遅らせることができるのか?
 
<割付>
Brimonidine:4、Timolol:3でランダムに7人1組のブロック割付
<割付の隠蔽化>
たぶんされている(maskedとは書いてあるが具体的な方法の記載なし)
<Baseline>
だいたい同じ
 
<隠蔽化>
患者:されている
医療者:されている
outcome判定者:されている
解析者:?(読んでも理解不足で分からなかった)
 
<ITT>
ITTで解析されている
<追跡率>
Brimonidine 99例 54例脱落 追跡率:45.5%
Timolol 79例 23例脱落 追跡率:70.9%
全体 56.7%
 
<サンプルサイズ>
計算されている。必要数64例
 
<Outcome>
<Primary>
視野進行(点別線形回帰分析で3点以上になり、-1dB/年以上の悪化がある人)
Brimonidine:9 Timolol :31  ( log-rank 12.4, P=.001)
<Secondary>
GCPM と 3-omitting method による評価

 
【読んでの感想】
・脱落率が高いので、ちょっと疑わしい面があるかも
・複数の検査で評価しているので結果の信頼性は高そう
・Brimonidineは、アレルギーや副作用による脱落が多い
 →添付文書にも割と頻度高く出ているので間違いなさそう
・眼圧降下作用はそんなに変わらない?
・視野進行予防といっても年単位で経過を見ないと差が分からない
 →アドヒアランスとコンプライアンスを維持することが大切か?
β阻害薬が向かない患者さんに対しての選択肢としては良いかもしれない
・正常眼圧緑内障が対象だが、普通の緑内障患者にも適応できるか?
角膜の厚さに数値が影響を受けるゴールドマン型で測定しているので、
 デジタルのDCTなんかで測ると変わらないのではないか?
・アレルギー性結膜炎などの既往があったりすると避けたほうがよいのか?
 
 
【ロールプレイング】
特に既往のない緑内障の患者さんで、キサラタンを使用していたが、
眼圧コントロール不良(または視野悪化)のためアイファガンが追加になった場合の服薬指導
 
 
【気をつけた方が良いと思われた箇所】
・眼圧が落ち着いていても視野進行を押さえるために、しっかり継続する必要があることを伝える。
・視野は落ちると改善しないことや長期間の治療になること、
 点眼液の使用で視野進行の予防ができることを
 理解度の高い人には直接的に伝えても良いかも。
アイファガンはアレルギー等の副作用による使用中止が多いので、
 その症状やどう対応するかを伝える
・全身性副作用(めまい、頭痛、除脈など)の予防のため、
 β阻害薬と同じように点眼後に目を閉じて、目頭を押さえたほうが良いかもしれない。
・1日2回なので、使用タイミングについても指導した方が良いかもしれない。

2014年5月20日火曜日

第2回抄読会予定

有志による第2回抄読会を行います。

【日時】
2014/5/29(木) 19:00~

【場所】
コロニーハウス
https://goo.gl/maps/SjJ9c

【担当】
けやき薬局 岡本
http://www.aiki-ph.co.jp/shop/keyaki/
https://www.facebook.com/aikiph

【お題】
プロスタグランジン系などで治療されていて眼圧が高くなっている緑内障患者に対して点眼薬を追加するとき、ブリモニジンを使用する場合と他薬剤を追加するときでは眼圧下降作用ならびに視神経保護効果はどのような違いがあるのか?
今回は高頻度で処方されるβブロッカーのチモロールと比較した論文を通じて議論することで、日々の服薬指導の向上に繋げることが目的です。

 【読む論文】
Am J Ophthalmol. 2011 Apr;151(4):671-81.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21257146

【事前に勉強した方が良いこと】
緑内障とはどんな疾患か?

ブリモニジン(アイファガン点眼液)はどのような薬か?
チモロール(チモプトール点眼液など)はどのような薬か?

2014年5月2日金曜日

第1回抄読会まとめ







【日時】
2014/5/1(木) 19:00~

【場所】
コロニーハウス
https://goo.gl/maps/SjJ9c

【担当】
みずき薬局 馬場
http://www.aiki-ph.co.jp/shop/mizuki/

【お題】
PPIやH2阻害薬を服用していたが胃カメラで改善が確認され薬が中止になった患者さんが、中止後不調を訴えた場合に、PPIやH2阻害薬を再開する事はどの程度効果があるのか?また薬剤師として中止時、再開時の服薬指導ではどのようなことに留意すべきか?

【簡単な病態】
〇GERD(Gastroesophageal Reflux Disease:胃食道逆流症)
 →消化液の食道への逆流によって生じる症状・徴候の総称
 →胸焼け、呑酸、喉の炎症、胸部の痛み等の症状がでる
 合併症:貧血、出血、食道狭窄、Barrett食道、食道腺がん、など
〇NERD(non-erosive reflux disease:非びらん性胃食道逆流症)
 →胸焼け等の症状があるうち、胃カメラで胃、食道粘膜の病変が認められないもの
 →病的な酸の逆流、病的ではない酸の逆流、酸への過敏性、酸以外の逆流等がある

GERDの治療目的:症状のコントロール、QOLの改善、合併症の予防
薬物治療:PPI,H2阻害薬が第一選択


〇FD(functional dyspepsia:機能性ディスペプシア)
→器質的な異常がない(組織傷害がない)にもかかわらず、胃の痛みや胃もたれなどのさまざまな症状が慢性的に続いている病状
 ・食後愁訴症候群(PDS:Postprandial Distress Syndrome)
  →食後のもたれ感、早期飽満感
 ・心窩部痛症候群(EPS:epigastric pain syndrome)
  →心窩部痛、心窩部灼熱感(胸部の症状ではない)



【読んだ論文】
Efficacy of omeprazole, famotidine, mosapride and teprenone in patients with upper gastrointestinal symptoms: an omeprazole-controlled randomized study (J-FOCUS).
BMC Gastroenterol. 2012 May 1;12:42.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22548767


P:ピロリ菌陰性で上部消化器症状を持つ患者に対して
I:オメプラゾールで治療をすることは
C:他の治療(ファモチジン、モサプリド、テプレレノン)に比べて
O:GOS(自覚症状の指標)を改善させるか?
T:治療、オープンラベルのランダム化比較試験



【患者】
<組入>
20歳以上
8症状のうち1つは当てはまり、そのGOSスコアが4以上
1.心窩部痛  2.胸焼け  3.逆流  4.食後の膨満感
5.吐き気/嘔吐  6.げっぷ  7.早期満腹感  8.膨満感
<除外>
ピロリ菌陽性とピロリ菌除菌経験者
3ヶ月以内に内視鏡検査を行った患者も除外
1週間前から消化器系に影響の出る薬は中止
 


【割付・解析】
471名を対象とし、
オメプラゾール10mg 1日1回
ファモチジン10mg 1日2回
モサプリド5mg 1日3回
テプレレノン50mg 1日3回
を2:2:2:1になるようにランダム割付を行った。


脱落者は合計38名、追跡率91.9%
75%以上服用した割合は、96%、91%、84%、87%だった。


安全性は、ITT(intention to treat)で解析を行った。
有効性は、FAS(Full Analysis Set)で解析を行った。
χ2検定で有意差判定を行い、多変量ロジスティック回帰分析で有効性の背景を検討した。



【Outcome】
<primary endpoint>
4週間経過後に8症状のGOS≦2の割合を比較
オメプラゾール群 66.9%
ファモチジン群 41.0% 
モサプリド群 36.3%
テプレレノン群 32.3%


<secondry endpoint>
 2週後、4週後にGOS=1まで改善した割合を比較














<結果に影響を与える因子>
・5つ以上の症状を訴えると改善が悪い傾向 OR=0.48 (0.29–0.81)
・severe以上(GOS≧5)だと改善が悪い傾向 OR=0.65 (0.39–1.08)
・全体と比べGERDタイプ、FDタイプは改善が良い傾向
 GERDタイプOR=1.23 (0.78–2.0)、FDタイプOR=1.67 (1.01–2.8)
・女性の方が改善が少し悪い傾向 OR=0.80
(0.49–1.32)


【ディスカッション】
・ACGのガイドライン(
http://gi.org/guideline/management-of-dyspepsia/)では、
 55歳以上は胃カメラ推奨。
 55歳未満でピロリ菌陽性の場合は除菌、陰性の場合はPPI服用
 胃カメラを行っても兆候が見られない患者をFunction Dyspepsiaとして分類
・お題の患者さんは胃炎や逆流性食道炎による治療で薬を服用していることが多いのに対し、
 論文のPは上部消化器症状全般と対象が広い。
・お題の場合だと、器質的に異常がなくなって中止になっているので、
 不調を訴える場合はNERDの人が多いだろうか?
・症状が重い人や訴える症状が多い人の改善が悪いのは、単剤治療だから?
  複数併用したほうが改善する?
・オープンラベルだけど、どの程度割り引いて考えればよいのか?
・3回飲む薬で改善度が悪いのは、単剤で効果が弱い事もあるが3回飲めないからもある?
・FDタイプでもPPIに反応するのはなんで?
・2週よりも4週で改善度が上がっているので継続服用したほうが改善しやすい?
・オメプラゾールだと最近S体のネキシウムが処方されているが、どの程度効果が違うんだろう。
 


【お題に対するロールプレイングから普段の交付時に活かせそうなこと】
 <胃の薬中止時、胃カメラ実施前>
・NERD、FD等器質的に異常がなくても症状が出る病態があるので、
 中止後も症状出る場合は再度受診するように指導しても良いかもしれない
 ・症状が重いと改善が悪いようなので、悪化時は我慢せずに早めに薬を再開したほうが良い?
 <薬再開時>
・自覚症状の改善にPPIなどを使用することが有用であることを伝える
・状態が改善しない場合は、その旨をDrへ伝え他の薬への変更や追加を相談するよう指導する
・しばらく続けたほうが症状が改善しやすいようなので、
 薬服用して1-2週間で改善しなくてもしばらくは継続してみるよう指導する
 

2014年4月28日月曜日

第1回抄読会予定

有志による第1回抄読会を行います。


【日時】
2014/5/1(木) 19:00~

【場所】
コロニーハウス
https://goo.gl/maps/SjJ9c

【担当】
みずき薬局 馬場
http://www.aiki-ph.co.jp/shop/mizuki/

【お題】
PPIやH2阻害薬を服用していたが胃カメラで改善が確認され薬が中止になった患者さんが、中止後不調を訴えた場合に、PPIやH2阻害薬を再開する事はどの程度効果があるのか?また薬剤師として中止時、再開時の服薬指導ではどのようなことに留意すべきか?をみんなで一緒に考えます。

【読む論文】
BMC Gastroenterol. 2012 May 1;12:42.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22548767

【事前に勉強した方が良いこと】
GERD(胃食道逆流症)、NERD(非びらん性胃食道逆流症)、FD(機能性ディスペプシア)は、どんな病気か?(簡単にでよいので)