福島県の地方都市会津若松でも継続的な勉強がしたいと願う若手(?)薬剤師数名で行う自主的な勉強会の連絡や行った内容をお伝えします。

当面は月に1度のEBM形式の抄読会(ジャーナルクラブ)の開催を目指します。

当人達も手探りですので、興味ある方は一緒に勉強しませんか?
こうした方がよい等のご意見も頂ければ幸いです。

2014年7月18日金曜日

第3回抄読会まとめ

有志で抄読会を行いました。
次回は、8/7(木)を予定しています。


【日時】
2014/7/17(木) 20:00~

【場所】
モスバーガー 会津店


【担当】
みずき薬局 馬場


【お題】
糖尿病の薬物治療の第一選択薬は、ビグアナイド系のメトホルミンとされている場合が多いが、最近実際に良く目にする処方はDPP-4阻害薬。なんでそういう場合が多いのか?を考えてみる。
 
【読んだ論文】
BMJ. 2012 Mar 12;344:e1369.

P:18歳以上の2型糖尿病患者に対して
I:DPP-4阻害薬を使用することは
C:他の治療薬と比べて、
O:HbA1cは下がるのか?

<検索>
Medline, Embase, Cochrane Library
他、アメリカ糖尿病学会、欧州糖尿病学会、アメリカ臨床内分泌学会議の年次総会誌を手検索
臨床試験も検索した。
<対象>
DPP-4阻害薬(もしくはメトホルミン+DPP-4阻害薬)と他の薬を比較したRCT
他の薬:メトホルミン、メトホルミン+(SU剤、ピオグリタゾン、インスリン、GLP-1作動薬の内どれか)

<Study selection>
2名が独立して行い、不一致は第三者を交えて合意を形成した
<Data extraction>
2名が独立して行い、不一致は合意を形成した
<Risk of bias>
コクランのrisk of bias ツールを使用
2名が独立して評価し、その後第三者と合意を形成した。
<出版バイアス>
ファンネルプロットとEgger検定(p=0.363)

【読んでからのディスカッション】
・DPP-4阻害薬はメトホルミンに比べて血糖効果作用は弱い傾向にある
・DPP-4阻害薬は全般的に副作用は控えめで、体重にも影響はすくなさそう
・メトホルミンに追加する場合は、SU剤と比較しても遜色なさそう
・意外とピオグリタゾンがHbA1c≦7.0の達成率がよい
・異質性が中程度以上のものをどう評価するのかが不明

【DPP-4阻害薬の特徴】
・血糖効果作用は強くない(HbA1cを下げても1%弱?)が、副作用も弱め?
・ちょっと血糖が高い人に、と使いやすい?指導が楽?
・単独で低血糖起こすことはあまり見かけない
・腎機能や肝機能でも調節すれば使える。高齢者でもあまり考えなくてもよい
・半減期が長く1日に飲む回数が少ない。基本的に1日1回でよく、エクアのみ1日2回
・死亡率には影響を与えないらしい?
・薬価が高い(1日薬価で100円~200円)

【メトホルミンがあまり処方されない理由?】
・乳酸アシドーシスに対する恐怖感、忌避感
 →フェンホルミンの20-60件/10万人のイメージが強い?(メトホルミンは1-7件/10万人位らしい)
  https://ds-pharma.jp/product/research/metglco/guide/q1.html
・1日3回または2回飲むのが面倒?
・腎障害、肝障害、高齢者、過度の飲酒等の禁忌が多い
・下痢、吐気等の患者さんが自覚し易い副作用が気になる?
・総死亡率を下げる等有益なエビデンスの認知があまりされていない?
・安い(1錠10.2円)からあまりMRが宣伝していない?

【まとめ】
ガイドライン等にもあるようにもっとメトホルミンが処方されてきても良いように感じるが、
効果(副作用も含む)の軽さからDPP-4阻害薬が使いやすく頻用されているのではないか?
メトホルミンが合わない人や腎・肝障害のある人、高齢者には、
他の薬と比較しても悪くなさそうなので、DPP-4阻害薬が1stチョイスでよい気もする。
DPP-4阻害薬は、他の糖尿病薬を使っていて2剤目の追加としても悪くないかも知れない。

【ロールプレイング】
健康診断で血糖値高めで引っかかって、
DPP-4阻害薬が単剤で処方されてきた人への服薬指導。
 
【参考】
日本糖尿病学会 糖尿病診療ガイドライン2013
国立国際医療センター 糖尿病標準診療マニュアル