福島県の地方都市会津若松でも継続的な勉強がしたいと願う若手(?)薬剤師数名で行う自主的な勉強会の連絡や行った内容をお伝えします。

当面は月に1度のEBM形式の抄読会(ジャーナルクラブ)の開催を目指します。

当人達も手探りですので、興味ある方は一緒に勉強しませんか?
こうした方がよい等のご意見も頂ければ幸いです。

2015年5月19日火曜日

第12回抄読会まとめ(H2阻害薬は認知機能を落とす?)

【日時】
2015/5/15(金) 19:00~


【場所】
コロニーハウス
https://goo.gl/maps/SjJ9c
※やっていない場合は最寄のモスバーガー

【担当】
いぶき薬局 中島
http://www.aiki-ph.co.jp/shop/keyaki/
【お題】
H2ブロッカーが認知機能を低下させる可能性があると言われている。
服用により、どれほどリスクが上昇するのか知りたい。

【読んだ論文】
P 65歳以上のアフリカ系アメリカ人
E H2阻害薬の使
C H2阻害薬を使わなかった人
O CSI-Dスコアが poor-performance groupsに変化した人の割合
 
コホート研究5年追跡
<コホート>
インディアナポリスの水道会社の所有する60%に当たる住所をランダム抽出
7590件抽出し訪問→2582人が適格→2212人が試験に登録
<暴露>
薬剤の使用の有無についてインタビューで調査
<記載のある交絡因子>
年齢、性別、教育、飲酒、既往症(高血圧、糖尿病、脳卒中、うつ病)
併用薬(抗脂血症治療薬、抗血栓薬、アスピリン、ベンゾジアゼピン、抗コリン作用のあるもの)
<その他>
アウトカム測定者のマスキング:不明(たぶんされていない)
ロジスティック回帰モデルで調整
追跡率:70%?
2212人→ベースラインで不適格を除いた1900人→試験終了1558人

<アウトカム>
CSI-Dスコア  poor-performance groupsの割合
never-users(n=1355)     17.0%
intermittent users(n=165)  19.4%  調整OR = 1.17 (0.76–1.81)
continuous users(n=38)   34.2%  調整OR = 2.42 (1.17–5.04)

【読んだあとのディスカッション】
・ランダム抽出後の脱落が多いのと、H2阻害薬の連続服用者の人数が少ないのは微妙?
・DSI-Dスコアがどのくらいだったかは文中に記載が無い
・使ったり止めたりするような使用方法だと認知機能への影響は少ないらしい
・なんで対象をアフリカ系アメリカ人に限定しているのかはよく分からない。
・他の参考文献の Case Rep Oncol. 2012 May;5(2):409-12. によると
 PPIではせん妄が起きづらく、H2阻害薬だとせん妄が起こりやすい様子。
 (割付やブランド等は、不明だけど)
 H2阻害薬の服用を中止するとせん妄は改善傾向になるらしい
・他の参考文献の J Am Geriatr Soc. 2011 Feb;59(2):251-7. によると
 認知症やアルツハイマーの発症リスクはあまり変わらないらしい?
・PPI使用によって、肺炎の増加や骨折リスクの増加が知られているので、
 H2阻害薬でせん妄が起こるから、PPIを使用すればよいとは単純にいえないと思う
・認知症もしくは、認知機能の低下が疑われる人はPPIの方が良いのかも。

【ロールプレイング】
テレビの報道を見て気にしている患者さんからの質問にどう応対するか?
 
【参考】