福島県の地方都市会津若松でも継続的な勉強がしたいと願う若手(?)薬剤師数名で行う自主的な勉強会の連絡や行った内容をお伝えします。

当面は月に1度のEBM形式の抄読会(ジャーナルクラブ)の開催を目指します。

当人達も手探りですので、興味ある方は一緒に勉強しませんか?
こうした方がよい等のご意見も頂ければ幸いです。

2019年9月5日木曜日

第49回抄読会まとめ(カナグリフロジンの腎保護作用?)

【日時】
 2019/9/4(水) 19:00~

【場所】
 モスバーガー

【担当】
 みずき薬局 中島

【お題】
 最近SGLT-2阻害薬が腎保護作用があると言われているけどどうなの?

【読んだ論文】
 N Engl J Med. 2019 Jun 13;380(24):2295-2306. 
 Canagliflozin and Renal Outcomes in Type 2 Diabetes and Nephropathy.

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P 30<GFR<90で尿蛋白3+でARBかACE阻害薬服用中の2型糖尿病患者
I  カナグリフロジン100mg
C プラセボ
O 重度(GFR<15mL:透析間近)CKD、Scrの倍化、腎・心関連死の複合アウトカム

<割付>
ランダム化、
置換ブロックPermuted blocks 割付
GFR 30<45,45<60,60<90 で層別化
隠蔽化:中央でコンピューター生成のランダム化スケジュールを用いて割付

<Baseline>
だいたい同等

<解析>
2重盲検 double blind
ITT COX比例ハザードモデル
脱落 1201人(27.3%)
追跡 4361人(99.1%)
アドヒアランス 84%
フォローアップ 2.62年(0.02〜4.53)
有効性評価項目達成のため早期中止

<サンプルサイズ>
4200人(844イベント)
α 0.045 power 90%
カナグリフロジンの方が20%イベント↓で計画

<Outcome>
カナグリフロジン
 245/2202(43.2 events/1000人年)
プラセボ
 304/2199(61.2 events/1000人年)
HR 0.70(0.59-0.82)
NNT 56人/年
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【読んでからのディスカッション】
・対象患者が尿蛋白>300㎎で3+相当なので、余り日常でお目に掛からないような層で、
 日常目にするような軽度のCKDや糖尿病患者には情報の適応が難しくないか?
・CANVASなども重病な方が対象だったので、
 軽症な患者さんを対象にすると差がでにくいと考えているのかもしれない。
・約60%の被験者がGFR<60なので割と腎機能障害進み気味。
・ベースラインで、グリコヘモグロビン8.3%、BMI30、心血管疾患50%
・ARBやACE-Iをすでに飲んでいる人への上乗せ効果なのは注意が必要
・SGLT-2阻害薬追加の方が収縮期血圧が2-3mmHg低くなっている
・複合アウトカムのうち心血管死も大きな割合を占めるので、
 腎保護作用と言い切ってよいのかは分からない。
・末期CKDや透析患者に心血管イベントが多いのは事実なので、良いのではないか?
・もっとマイルドな患者層に、GFRの低下とかをアウトカムにしてくれれば、
 もっと日常で使いやすいエビデンスになるのに。

2019年4月6日土曜日

第48回抄読会まとめ(アルツハイマー病に対するリバスチグミン)


【日時】
 2019/4/5(木) 19:00~

【場所】
 コロニーハウス

【担当】
 ひのき薬局 岡本

【お題】
 リバスチグミンの貼付剤は認知症に対してどのくらい効果があるの?

【読んだ論文】
 Cochrane Database Syst Rev. 2015 Sep 22;9:CD001191.

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P 軽度~中等度の認知症患者
I  リバスチグミンのCAPもしくはテープ剤
C プラセボ
O 認知症スコア

<レビュー>
コクランのSR、GRADEを利用

<検索>
検 索:ALOIS ( MEDLINE, EMBASE, CINAHL, PsycINFO, LILACS を月1回検索しているコクランの認知症関連データベース)
    ISRCTN, UMIN, WHOの治験登録プラットフォーム, CENTRAL,  FDA, EMEA, NICE  
    Copernic, Google,
対 象:12週以上のプラセボ対照の2重盲検RCT
言 語:記載なし(データベースから英語以外も検索してそう?)
期 間:~2015/03
その他:grey literature sources→ISI Web of Knowledge Conference Proceedings, Index to Theses, Australasian Digital Theses
    参照文献 →検索した
    著者と連絡→記載なし
    未公開試験→製薬会社と連絡を取った

<網羅的か?>
Primary outcome対象は、6試験
全体で 13試験が組み入れ
出版バイアスについては記載なし

<試験の選択>
1名(JSB)が実施?

<データ抽出>
1名(JSB)が実施  

<質の評価>
実施者は記載なし
Chocraneのrisk of biasツールを使用

<outcome>
ADAS‐Cogスコア(MAX70点、点数高いほど認知症が重度)
 MD ‐1.79(95%CI ‐2.21 to ‐1.37, n = 3232, 6 試験)
MMSEスコア(MAX30点、点数が低いほど重度)
 MD   0.74(95%CI 0.52 to 0.97, n = 3205, 6 試験)
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【読んでからのディスカッション】
・認知症の試験は、スコアの改善度合いがアウトカムとして評価されることが多いが、
 1-2点の差がどの程度臨床上の違いとして現れるかは毎回疑問
・ADLやQOLで評価されている試験は少なく、差は小さいようだ
・ドネペジルなどでもそうだが、薬を使っても、使わなくても認知症は進み、
 薬を使ったほうが症状の悪化が緩徐という点を家族に理解してもらうことが難しい
 と普段感じている
・リバスチグミンは18㎎だと1枚400円以上でなかなかのお値段
 軽~中等度が適応なので、認知症がかなり進んだ状態では使うメリットは少ないかも
・他の治療法があまりない以上、治療をやめるという選択肢を提示するのは、
 Drとよく話せるような関係ではない限り難しいか??
・海外でCAPがあるのは知らなかった
 貼付剤は認知症が進んでくると貼ったり、交換するのが難しくなる印象

【ロールプレイング】
・半年くらいリバスチグミンの貼付剤を使用して、
 ご家族の認知症について悩んでいるご家族への服薬指導