福島県の地方都市会津若松でも継続的な勉強がしたいと願う若手(?)薬剤師数名で行う自主的な勉強会の連絡や行った内容をお伝えします。

当面は月に1度のEBM形式の抄読会(ジャーナルクラブ)の開催を目指します。

当人達も手探りですので、興味ある方は一緒に勉強しませんか?
こうした方がよい等のご意見も頂ければ幸いです。

2016年11月5日土曜日

第28回抄読会まとめ(ドネペジルを中止する/切り替える影響は?)


【日時】
2016/11/4(金) 19:00~

【場所】
コロニーハウス
https://goo.gl/maps/SjJ9c
※やっていない場合は最寄のモスバーガー

【担当】
ひのき薬局 岡本

【お題】
ドネペジルは状態が安定している場合は中止してみてもよいのか?

91歳女性から以下のような質問があったので、解決したい。
「頻尿で泌尿器の先生に相談したらドネペジルのせいって言われた。
 ふだん診てもらっている先生にもそのことを相談したら、
 元気だし、ずっと続けているから1回止めてみましょうか?
 と言われたけど、大丈夫かしら??」
 


*************************
P  MMSE5-13点の中等度~重症の認知症で、
    アリセプト10mgを6週以上、
    アリセプトの服用期間の通算で3カ月以上の人
I/C  ドネペジルON/OFF、メマンチンON/OFF
O    SMMSE、BADLSのスコア
 
<割付>
最小化法でランダム割付
層別化:センター、年齢、ドネペジル治療期間、sMMSE
U.K. Medical Research Council Clinical Trials Unitで電話により実施
<Baseline>
だいたい同じ?
男女比、ドネペジルの治療期間は差あり?
<転帰>
解析:ITT
追跡率:67~79%
<盲検化>
患者〇、治療者〇、評価者〇、解析者〇
<サンプルサイズ>
430人(実際は295人)
ドネペジルvsプラセボ sMMSEで1ポイント差 power95% α0.05
メマンチンvsプラセボ SMESEで2ポイント差 power90% α0.05
 
<Outcome>
sMMSE
 ドネペジル継続 vs 中止   overall difference 1.9 (1.3 to 2.5)
 メマンチン服用 vs プラセボ overall difference 1.2 (0.6 to 1.8)
BADLs
 ドネペジル継続 vs 中止   overall difference −3.0 (−4.3 to −1.8)
 メマンチン服用 vs プラセボ overall difference −1.5 (−2.8 to −0.3)
*************************
 
 
【読んでからのディスカッション】
・ドネペジル、メマンチン、ドネペジル+メマンチンのスコアは、
 途中は差が開くが、1年後にはあまり差がないようだ。
・ドネペジル+メマンチンだと、先発品だと1日薬価は1000円超える
・中止群は、早期にスコアが落ちるので、
 薬を服用している効果は(実感が薄いけど)あるようだ。
・サンプルサイズより被験者が少ないけど、どう考えたらよい?
 有意差ついているからあまり気にしなくてもOK?
・結果のsMMSEのスコアが約2ポイントの差が、
 実際の患者さんの症状としてはどの程度の差なのかが分からない。
・お題の人は、認知症の程度がいまいち良く分からない。
 薬局には家族がいらっしゃっているそう。
・軽度の場合は、直接性が低いから結果を適用するのは微妙??
・メマンチンへの変更は、BPSD対策に鎮静効果を目的として
 切り替えられることが多いような印象がある。
・メマンチンへ切り替えるより、クエチアピンやリスペリドン併用する例が多いかも。
・コリン作動性の尿閉で困っているようなので、
 トイレに頻回行くつらさと、薬を継続するメリットについて
 患者さんの希望をよく聞くことが大切かも?

2016年10月29日土曜日

第28回抄読会予定


【日時】
2016/11/4(金) 19:00~

【場所】
コロニーハウス
https://goo.gl/maps/SjJ9c
※やっていない場合は最寄のモスバーガー

【担当】
ひのき薬局 岡本

【お題】
ドネペジルは状態が安定している場合は中止してみてもよいのか?

91歳女性から以下のような質問があったので、解決したい。
「頻尿で泌尿器の先生に相談したらドネペジルのせいって言われた。
 ふだん診てもらっている先生にもそのことを相談したら、
 元気だし、ずっと続けているから1回止めてみましょうか?
 と言われたけど、大丈夫かしら??」
 
【読む論文】
N Engl J Med. 2012 Mar 8;366(10):893-903.

【勉強してきた方が良いこと】
・ドネペジルとメマンチンの薬効、薬理
・MMSE(ミニメンタルステート検査:日本語)
・BADLS(Bristol ADLs:英語)

2016年10月8日土曜日

第27回抄読会まとめ(PPIはCKDのリスク因子?)


【日時】
2016/10/6(木) 19:00~

【場所】
コロニーハウス
https://goo.gl/maps/SjJ9c
※やっていない場合は最寄のモスバーガー

【担当】
みずき薬局 馬場

【お題】
CKDに対してPPIは用量調節は不要とされているが、連用により腎機能に影響は与えないのか? 
 

******************************
P eGFR≧60 mL/min/1.73m2の人(10482人)
E PPI、H2阻害薬の使用
C 非使用
O  退院時にCKDの診断、もしくは死亡/eGFR<60 mL/min/1.73m2の患者数
<追跡期間>
ARIC試験 1996/2/1 ~ 2011/12/31(中央値13.9年)
Geisinger Health System 1997/2/13 ~ 2014/10/9(中央値6.2年)
<脱落>
ARIC試験 11656人→10482人 1174人(約10%)
Geisinger Health System データベース解析なのでなし
<交絡因子の調整>
Cox比例ハザード回帰
<その他>
ARIC試験では、maskingはされていない。
データベースのコードによるOutcomeの評価
<Outcome>
PPI 使用 vs 非使用者 
 ARIC試験
   PPI 56/322  14.2件/1000人年
   非使用者 1382/10160  10.7件/1000人年
   調整ハザード比 1.50 (1.14-1.96)
 Geisinger Health System
   PPI 1921/16900  20.1件/1000人年
   非使用者 28226/231851  18.3件/1000人年
   調整ハザード比 1.17 (1.12-1.23)
 
H2阻害薬使用 vs 非使用者 (調整ハザード比)
 ARIC試験 1.15 (0.98-1.36)
 Geisinger Health System 0.93 (0.88-0.99)
*******************************

【読んでからのディスカッション】
・eGFR<60 mL/min/1.73m2でCKDと定義されるので、アウトカムの設定はおおむね問題ないと思う。
・プロテカジンを除くH2阻害薬と違い、容量調節が不要なので腎臓内科の処方でもよくPPIは見る
・調整ハザード比で1.1~1.9、もしくは、1.2±なので、CKDのリスクは上がるが、そこまで高いわけでもないかも。
・NNHは、286人年、556人年。
・GERDは再発も多いので、飲むのをやめて症状が出るようなら、無理にやめる必要はないかもしれない。

【ロールプレイング】
GERDでPPI服用している患者さんから、最近腎機能が落ち着いてると言われたと話があった場合の服薬指導。

2016年9月26日月曜日

第27回抄読会予定


【日時】
2016/10/6(木) 19:00~

【場所】
コロニーハウス
https://goo.gl/maps/SjJ9c
※やっていない場合は最寄のモスバーガー

【担当】
みずき薬局 馬場

【お題】
CKDに対してPPIは用量調節は不要とされているが、連用により腎機能に影響は与えないのか? 
 
【読む論文】
JAMA Intern Med. 2016 Feb;176(2):238-46.

【勉強してきた方が良いこと】
・PPIの代謝経路

2016年9月3日土曜日

第26回抄読会まとめ(黄斑変性症にラニビズマブはどの程度効果があるのか?)


【日時】
2016/9/1(木) 19:00~

【場所】
コロニーハウス
https://goo.gl/maps/SjJ9c
※やっていない場合は最寄のモスバーガー

【担当】
けやき薬局 飯塚

【お題】
眼科の処方を交付する際に話が出ることが多いが、黄斑変性症へルセンティスを使用するとどの程度改善が見込めるのか?
 
************************************
P 50歳以上で血管新生のある加齢黄斑変性症、視力20/40~20/320
I   ranibizumab0.3mg / 0.5mg を月1回注射 
C シャム注射(針なしの注射筒でふりのみ)
O 12か月後のETDRSの変化がー15文字以下だった人の割合
 
<割付>
ランダム化割付(詳細は記載なし)
<ベースライン>
だいたい同等。
<脱落>
ITT解析
12カ月追跡率>90%
24カ月追跡率>88%(シャムは79.8%)
<盲検化>
2重盲検(患者、医療者)
<サンプルサイズ>
α=0.0497, power=95%, シャム注射群50%、治療群65%と仮定で、720人
 
<outcome>
12か月後のETDRSの変化がー15文字未満の割合
ranibizumab0.3mg 94.5%
ranibizumab0.5mg 94.6%
シャム注射     62.2%
************************************
 
【読んでからのディスカッション】
・ETDRSの検査方法について予習した方が良かったかも
・ETDRSの1列は5文字なので、15文字は3列分
 20/80→20/160、20/100→20/200くらいの視力の悪化
・ベースラインで、視力に影響与えそうな緑内障や白内障といった、
 他の眼科疾患の罹患数が書いていないのが少し気になる
・脱落は10%前後で少なそう
・視力の維持という観点からはとても効果があるようだ
・一度やめても、視力悪化からまた再開している患者さんも多い印象
・認識文字数の増加は、ゆがんだ物の改善によるものだと考えられるので、
 目が良くなるというよりは、以前に少し戻ると患者さんに伝えた方が良いかも
・福島県立医大では、処置3日前から、ベガモックス点眼が処方されることが多い
・副作用は、目以外にも出血や血圧上昇など抗VEGF抗体の全身性の副作用も起こるらしい
・ルセンティス1回分15万円だが、視力の維持される割合を考えるとやるかも?
 
【ロールプレイング】
ベガモックス点眼液 処置3日前から の処方が来た場合の交付

2016年8月9日火曜日

第26回抄読会予定

【日時】
2016/9/1(木) 19:00~

【場所】
コロニーハウス
https://goo.gl/maps/SjJ9c
※やっていない場合は最寄のモスバーガー

【担当】
けやき薬局 飯塚

【お題】
眼科の処方を交付する際に話が出ることが多いが、黄斑変性症へルセンティスを使用するとどの程度改善が見込めるのか?
 
【読む論文】

【勉強してきた方が良いこと】
・加齢黄斑変性症って?
・ラニビズマブ等の抗VEGF抗体の薬理作用

2016年8月5日金曜日

第25回抄読会まとめ(手足症候群の予防に尿素クリームは有効?)

【日時】
2016/7/28(木) 19:00~

【場所】
コロニーハウス
https://goo.gl/maps/SjJ9c
※やっていない場合は最寄のモスバーガー

【担当】
けやき薬局 中島

【お題】
分子標的薬で起こる手足症候群の予防に尿素クリームは有効なのか?
 

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P 肝細胞がんでソラフェニブを服用している人
I  10%尿素クリームを1日3回+Best Supportive Care
C Best Supportive Care(クリーム塗布を除く)
O 手足症候群の発生率

<割付>
ランダム割付
割付の詳細な方法は記載なし
Baselineはだいたい同じ?
<盲検化>
オープラベル
<その他>
Kaplan-Meier 法:Cox回帰モデルで調整
追跡率 約80%
サンプルサイズ
 手足症候群の発生率45%、相対リスクを25%減少させると仮定
 α=0.025, power = 90%、脱落率10%を想定して900人
 
<Outcome>
12週の手足症候群の発生率
HR 0.658 (0.541 to 0.799)

***********************

【読んでからのディスカッション】
Kaplan-Meier だが、脱落者が20%いて、
 発生率に与える影響が大きいように思えるので、微妙?
・割付方法の詳細が書いてないので良く分からない。
・対照群の手足症候群の発生率が、45%の想定対し73.6%とかなり多い。
・日本の添付文書にも、55.6%と書いてあるので想定は妥当?
・12週の時点の表で、手足症候群ありなしの数字で計算すると、
 ARR17.6%、NNT6人
・一般的に服用開始後2カ月くらいは注意が必要とされているが、
 試験でも60日くらいまでの発生が多いので、妥当?
・一般的にはヘパリンのクリームなどが多いけれど、尿素使うの?
 →角質を柔らかくするという事で、本には書かれていることもあり
・オープンラベルで、対象が薬なしで、脱落も多いので、
 良い結果だけど微妙??

【ロールプレイング】
一般的な手足症候群の予防に対する保湿剤処方の服薬指導
(尿素クリームは想定しなかった)